La Mer
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映画短評
2024年4月
「オッペンハイマー」(米 2023年)

 本年度アカデミー賞7部門を受賞した話題作です。

 皆様ご存知の通り、原爆開発を指揮した物理学者オッペンハイマーの戦前・戦後の葛藤を描き、特に戦後のある時期以降をモノクロ映像にする事で、原爆投下までの英雄としての彼と、原爆投下後の良心をさいなまれる彼と区別した描写は見事でした。

 主演男優賞を取ったキリアン・マーフィーは「ダンケルク」に出ていたそうですが、あまり印象に残らない俳優でしたが、今回は眼の演技による内面葛藤描写が秀逸でした。

 更に助演男優賞を取ったロバート・ダウニー・ジュニアが上昇志向の強い科学者を演じますがこれも確かにアカデミー賞物の演技でした。

 公開前の本作品の評価は日本では余り芳しくありませんでしたが、トルーマン大統領の描き方、原爆被害者数の扱い等決して原爆を擁護したものではなく、その後の米ソ核競争による新しい危機を予言した秀作と思います。

 後、アインシュタインが登場して重要な役割を演じますのでお見逃しなく。それにしても3時間はちょっと長かったかな。



2024年2月

「落下の解剖学」(仏2023)

久しぶりのフランス映画に堪能しました。

どちらかといえば筋書きと動き、それによるカタストロフィに重きを置くアメリカ映画に対して、筋書きや動きよりも登場人物の心理描写を得意とするフランス映画は地味ですが数々の名作を生んできました。本作も例外ではありません。

冒頭に男性の落下事故が発生し、視覚障害を持つ息子が発見する。すぐに警察の調査が入るが、それが事故か、自殺か、殺人か、明確な証拠がないままに夫婦仲を疑われかねない言い合いの録音が発見され、妻は殺人容疑で起訴される。

粗筋はたわいないのですが、ここからの裁判シーン、長い夫婦喧嘩の描写、息子の自分なりの真相究明等、様々なエピソードが積み重ねられ、この3人家族の真相が浮き彫りにされてゆきます。

作家夫婦で、夫の希望でスイスに移住した後、妻が先に世間に認められた事を嫉む夫に、全ての選択はあなたが決めて、それに従ってきたと主張する妻の言い争いは平行線で結論は出ません。
それでも夫婦生活を続けていた家族関係が会話のみで解剖されて行く描写には唯々感心しました。

明確な証拠の無いままに裁判は結審して、映画は終わりますが、事の真相は明らかにされず結論は観客各位の判断に任されます。

いや、誠にフランス映画らしい作品でした。



2024年1月 
        映画短評
   「パーフェクトデイズ」
        (日独2023)

明けましておめでとうございます。

新年早々、能登地震、羽田空港での日航機衝突事故等、波乱の年明けでしたが、お正月にこの映画を見て少し救われた気持になりました。

主人公の役所広司は都内公衆トイレの清掃作業員で、早朝に外の道路を掃除する箒の音で目を覚まし、寝具を片付け、髭を剃り、自販機で缶コーヒーを買い、仕事場に向かう。
昼は神社でサンドイッチ、仕事後は銭湯で汗を流し、通いの駅地下飲み屋で酔った後、文庫を読んで就寝、といったごく当たり前の生活が紹介されます。

その彼の周りには、やる気の全くない同僚、ホームレスのお爺さん、古本屋のお姉さん、御休みの日に通うスナックのママ(石川さゆりが秀逸)等々が絡み、更に姪が家出して彼の元で過ごすことから、彼の生活が微妙に変化してくる。この辺の役所広司の変化が見ものです。

姪を迎えに来た妹が運転手付きの車で訪ねてきたことで、観客は彼は元々お金持ちの出身で、父親と何かあってこうした生活を送っているのかなと、想像するだけです。大きな筋書きもなく、彼がこの生活を選んだ背景の説明もなく、淡々とした描写ですが観客は妙な安堵を覚えるのです。最後の役所広司の表情が素晴らしく、余韻を残します。

できればこんな静寂なパーフェクトデイズをおくりたいと思わせる笑顔です

 

 

2023年11月
映画短評
「キラーズ オブ ザ フラワームーン」(米 2023

 久しぶりの映画短評です。

  今回はマーチン・スコシージ監督、ロバート・デ・ニーロ、レオナルド・ディカプリオ主演の最新作であり、3時間半の大作である本品をご紹介します。

オクラホマ州居住区から石油が出た事で俄か成金となった先住民、その利権を狙う牧場主、その下で殺人を請け負うギャング、そして捜査に乗り出す出来たばかりのFBI、を盛沢山のエピソードで描写してゆきます。兵役後に牧場主のデ・ニーロを頼ってきたディカプリオに牧場主が進めたのは先住民のモリーとの結婚、相思相愛の出会いであったが、牧場主の悪だくみに乗せられ悪事に加担してゆく。
モリー役のリリー・グラッドストーンが秀逸です。

何しろ長尺の作品なので、それぞれの思惑も丁寧に描写されていますし、悪役であるデ・ニーロが敬虔なクリスチャンで、常に神への許しを求めていながら行う悪事は凄惨なものがあります。またこの複雑な役を嬉々として演じるデ・ニーロがうまい。
ディカプリオも頑張っているのですが、ここは貫禄負けでしょうか。

 スコシージ監督は最近長尺の作品が増えて、盛り込みすぎてまとまりがつかなくなった感(特に最後の締めくくり)はありますが、久しぶりの重厚な映画をたっぷりお楽しみください。

2019年銀座のクリスマス風景


2019年11月今月の特集
カラオケ リクエストの多い曲目


2020年10月
今月の映画短評
「TENET」(2020年 米)


2020年1月
今月の映画短評
「パラサイト 半地下の家族」(2019年 韓)


2019年11月
今月の映画短評
「ジョーカー」(2019年 米)


2019年9月
今月の映画短評

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
(2019年米)



2019年5月特集
平成14年~平成30年の出来事


今週のスタッフ
3月23日~3月27日
23日  24日  25日   26日  27日 
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のぞみ
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元気のでる歌 2018年9月
映画短評掲載履歴

2019年1月16日
「ボヘミアン・ラプソディー」(2018年 米)


2018年12月3日
「ファンタスティック・ビーストと
黒い魔法使いの誕生」

(2018年 米)


2018年10月17日
「クワイエット・プレース」(2018年 米)

2018年9月19日
「ザ・プレデター」(2018年 米)

2018年8月19日
「ミッション・インポッシブル フォール・アウト」
(2018年 米)

2019年1月特集
観梅名所



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